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2008/01/06

熊歌

NHKスペシャルの「世界里山紀行 フィンランド」を見た。見るのは2回目,前回たいへん感動したので,メモをとりながら見た。猟師のカウコ・ニスカネンさんがクマを探しに森に入るときに流れた「熊歌」がこころに残った。

 森に第一歩を踏み込んだ
 そして二歩目を踏み入れる
 私はおまえの命を貰う
 おまえを食べる
 申し訳ない しかたないのだ
 おまえは私たちの世界に来たのだから
 鼻を食べる おまえのような
 強い嗅覚を持ちたい
 耳を食べる おまえのような
 鋭い聴覚を得たい
 目を食べる おまえのような
 深遠な視覚を得たい
 舌を食べる おまえの
 言葉の力を得たい

 (テレビの字幕から引用しました)

どこかでもっと情報がないかとインターネットで調べてみたら,柴田昌平さんの「ひめゆり監督日記」に,この歌についての詳しいことが書いてあった。柴田さんはこの番組のディレクターをされた方だ。柴田さんの手による採譜だとのこと。

静かで物悲しく,しかし何かを揺さぶられるようだ。神話的思考。カウコさんの言葉からも,自然への感謝,クマへの尊敬,人も生命のサイクルの一員であることの自覚がうかがえる。猟師といっても,17歳に猟を始め54歳までの現在までにしとめたのはわずか8頭。最後はかならず頭骨をきれいにして松の木の上にかけ,天国に帰す。自然への感謝を忘れまいという強い気持ちだ。

「森の王・クマ。クマは賢く勇敢だ。私はとても尊敬している」
「どうすればクマに出会えるのか。猟の腕が良いか悪いかではない。自然が与えてくれるものなんだ」
「よかった クマは天国へ帰っていった。クマを撃つということは存在を終わらせることだが,私は単なるハンターではない。私も生命のサイクルの中にいる。」

天に帰すために松の木に登るとき,クマの頭骨を自分のジャンパーの背中に大切にしまって登る姿が印象的だった。クマに対する敬意から,ヒモでぶら下げたり袋に入れたりということはしないのかなと想像した。

番組ではもう一人,農家のオッリ・クレモラさんが登場する。オッリさんの軒先の老木にフクロウが住み着いた。オッリさんの言葉が素敵だ。

「私はフクロウが大好きだから,初めてふくろうが来たとき,うれしくて心臓が止まりそうだった。本当に巣を営んでいるのか確かめたくて,木の下で一晩過ごした。泣き声や巣の中の音をじっと聞いていたんだ。」
「いてつくような冬は望んでいないが,冬は変化をもたらし,春を待つ心を与えてくれる」


もちろん映像もすごくて,ロービジョンのうちのテレビでも見とれてしまうような映像の連続だった。カメラの技術とか編集とかは凄まじいんだろうなと思う。これこそ機会があればハイビジョンで見てみたいと思った。

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