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2018/09/23

14歳の国

遊園地再生事業団の「14歳の国」早稲田ドラマ館で観てきた。おもしろかった。緻密でタイトな構成で素人の自分なんかが言うのもなんだが、今まで見た中でも完成度の高さを感じた。

自分が宮沢章夫さんの芝居を初めてみたのはたぶん「ヒネミの商人」で、CSのシアターテレビジョンで観た。

実演を初めて見たのは「ジャパニーズ・スリーピング」だったと思う。2010年だ。

今回観た「14歳の国」は本で読んでいたので概要は把握していた。舞台は中学校、体育の授業で生徒がいない教室で、教師が生徒の荷物検査をする。こそこそしつつ、教師どおしの会話が宮沢作品独特の不条理さでドリフトしていく。

初演は20年前、1998年に神戸のニュータウンで14歳の少年による衝撃的な事件の直後に発表された。

早稲田の駅で降りるのは初めて。変なティーシャツの若者や武士の装束の若者が歩いてて早稲田だなと思う。会場の早稲田小劇場ドラマ館、グーグル地図を観ながら歩いたが最初気付かず通り過ぎてしまった。さすが小劇場。こじんまりとしている。

ようやく開場を待つ列に並ぶと、通りがかった中学生A「何の列だ?」B「芝居じゃね?」A「サウンドトラックじゃね?」A「え?」B「サウンドトラック」

君たちは芝居をしてるのか。笑ったじゃないか。

続いて通りがかった壮年男性はこういう「ほほうドラマか」。こちらはきわめて凡庸だ。


今回は事前にWEBで予約し、当日名前を言って代金を支払うシステム。列に並んでからハッとして中身を確認した財布には千円札2枚。代金は3.8枚分必要。焦って一旦列を離脱し銀行を探すも、小銭入れを持っていたことを思い出し中を除くと小銭を合わせてなんとか間に合うことが判明。ほっとした。なぜ家に出るときに確認しないのかと思う。


開場になって中に入ると、狭い空間に面積の5割を占めるかという舞台があってそこに机と椅子が15セット並べられているのだが、その向き、その近さにびびる。近すぎて緊張するからつい後ろの席に座ってしまう。舞台は鉄板(?)で作られているように見える。どうやってこれをここに入れたのか。それともここで溶接したのだろうかか。


いよいよ時間になってお決まりの開場案内のアナウンスが流れる中照明が変わっていき、そのアナウンスに被さるように校庭で遊ぶ子供たちの声と音楽が流れ、役者が登場。この始まり方がおそろしく恰好よく、何か始まる感が高まる。


印象に残ったシーンはたくさんあるけど、その一つ。

そういえば机からものを落とす生徒がいる、話から脱線していき、机が狭いんじゃないか→生徒の体格も変わった→私も弁当を落とした→私の授業中についにあるものが落ちました→何だと思うか→「隣の生徒です」この「隣の生徒です」の、こう文字で説明しても全然伝わらないが、「感に堪えぬ」という狂気ともいえる口ぶりがツボにはまったなあ。笑った。


先生間の温度差、疑心暗鬼、自分達がしていることの後ろめたさと肯定、会話はあるけどコミュニケーションは断絶、そして一番「不良」な美術の先生が「あなたの見たいのはこれでしょう」と言って机の裏面にガムテープで隠されていたナイフを見つけ出し、「首謀」の学年主任の先生に見せる。ラストはそのナイフを戯れに握った教師が、ほかの教師から握り方を指導されているうちに、別の教師を刺す。美術の先生が再び学年主任に「あなたはこれが見たかったんでしょう」。


会話のずれていく感じと諧謔の裏に潜む心ザワザワとさせるもの。芝居をそれほど観てるわけじゃないので特に思うのは、役者の体や視線が目の前にあるという生々しさが、それを希釈無しに伝えるので本当に緊張する。本や映像と一番違うのはその緊張だと思った。

Ws001316


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